去年はどうだったかよく憶えてないのですが、今年は昼の競技会のメインスポンサがキノシタグループ、夜のガラのメインスポンサがAIGスター生命という事で、昼と夜でリンク壁面に表示されたスポンサのパネルも異なり、更にはパンフレットまで違うという様相。
お昼の競技会は、昨年の経験が全く活かされていないグダグダ運営で、相変わらず選手の滑走から得点が出るまで異様に時間がかかるし、何より(これは去年も書いたことですが)選手達は世界選手権とその後の凱旋アイスショウが終わった直後で疲れているのが顕著に見て取れて、とにかく観ていて痛々しい大会となりました。
そんな訳で、運営の悪さは去年を凌ぐ程だったのですが、今回殊にやられたと思ったのが、パンフレットが常に長蛇の列で、挙句購入できなかった事。
私の場合、自分が観戦に行ったアイスショウや競技会では必ずパンフレットを購入するようにしているので、2001年からコレクションを始めて以来、初の欠陥になってしまいました。がっかり。見本品を売ってほしいとお願いしても駄目だと言われるし、毎回絶対に購入する層さえ入手できないくらいに小部数しか刷っていないパンフレットって一体何なんでしょう。
夜のガラは、今年は『Carnival on Ice』というタイトルまでついてテレビ放映もあるようです。夜も運営は酷いものでしたが、こちらはエキシビションなだけあって、全体的な雰囲気は一転! 愉しいものとなりました。折角のシーズンオフですから、選手達にはエキシビションナンバーを愉しく滑ってもらう方が、観客としても娯しめるように思います。
ガラに関しては5月に入ってからテレビ放映があるようですが、とりあえず今年も滑走順がてら感想を。
スターズ・オン・アイス風味のオープニングから始まって、最初は渡辺心&木戸章之組から。『イン・ザ・ムード』は世界選手権のエキシビションの時と同じかな。
浅田舞は『アランフェス』。曲も衣装も去年のこの大会と全く同じでしたが、滑りは流石に熟れて来たかも。ただ、まだ彼女の個性みたいなものが確立できてない感は否めず。
小塚崇彦は『カーウォッシュ』。コスチュームは以前と同じでしたが、振り付けは随分変わった印象。というか多分全く違ったと思います。少なくとも違うように見えました。素晴らしく成長してると思います。素直に驚きました。この驚きを誰に伝えれば……と思った程。(笑)
キーラ・コルピは、お昼と髪型が違っていて、オープニングの時には一瞬捜してしまいました。前髪下ろしてもかわいい。プロそのものは初めて観るもので曲は判らず。
トッド・エルドリッジは『ベター・デイズ』。スターズ・オン・アイスの時より素敵だと思いました。
サラ・マイヤーは『メモリー』という曲だと思います。何より紅いコスチュームがすごく綺麗で似合ってました。
ジェフリー・バトルはフリーと同じ衣装で『ゴー・ザ・ディスタンス(Go the Distance)』。彼の場合、エキシビションの衣装が過去の競技用プロの衣装の使いまわしだったりする事が多々あるので、「今回も使いまわしか」と思っていたのですが、プロは相変わらず華麗で素敵でした。世界選手権が残念な結果になってしまって、このプロは生で観ることもないだろうと思っていただけに嬉しかったです。しかしアンコールはなしであっさり終了。
そして第一部の取りは浅田真央。取りとは言え「前半に真央?」とちょっとこれも驚き……。とは言え、試合も良い出来ではなかったし、プロもいつもの衣装のいつものカルメンだったので、これは前半でも仕方がないかな、と……。
第二部はジョアニー・ロシェットの『サマー・タイム』から。ロシェットは今回昼も夜も全体的に安定していた雰囲気。綺麗です。
織田信成はかける曲を間違えられて、一旦中断。う〜ん、ここでもグダグダ運営がまた……という感じでしたが、その後に滑った『ニューシネマパラダイス』は印象的でした。彼を観ているといつも「まるでジュニアみたいだな」と思ってしまうのですが、今回初めてシニアの滑りになったな、と感じました……。
キミー・マイズナーはブルーの衣装で、曲は判らず。お昼の競技会でもブルーの衣装でしたが、衣装自体は違ったように記憶しています。
さて、ここで何とサプライズ。今回欠場となった金妍児に替わって「漢気たっぷりの」ジェフリー・バトルが再登場! 今度は衣装どころか髪型まで違いました。何とモヒカン。(笑)彼はこれで去年に引き続き、この試合では二曲滑ってくれるのが定番になってしまいましたね。嬉しい! この辺りから場内の雰囲気が急に変わってきて、盛り上がって来ました。
アレクセイ・ヤグディンは『レジェンダ』。先のスターズ・オン・アイスとは随分印象が違いました。ステップで場内沸かす沸かす! 席がジャッジと逆側だったので、観る側としては裏正面になってしまって本当に残念でしたが、やはり会場を一番盛り上げる事ができるのはこの人だと痛感しました。ヤグディンもピカチュウにせがまれてアンコールあり。(いや、ピカチュウのデカイきぐるみがいて……。)
ヤグディンは今回、競技会では『グラディエイター』を滑ってくれたのですが、何とダブル・アクセルを決めていた……。(寧ろトリプルを跳ぶのかと思ったくらい高さがありました。)あの腰で、アクセルジャンプを跳べるまでに調整してきてくれたのですね。コンビネーションジャンプが決まった時にも、もうあんまりに感激して全力で拍手してしまいました。ニコライ・モロゾフとも和解していたみたいだし、色々思うところがありました。お昼の競技会は、これが観られただけで価値があったと思っています。
ここからは先の世界選手権の金メダリスト登場、という事でまずはシュエ・シェン&ホンボー・ツァオ組で『カルーソー』。このプロ大好きだから嬉しい。『カルーソー』も、選ばれた者のみが使える曲の印象があります。彼らも勿論アンコールあり。
ブライアン・ジュベールは初めて観るプロで、ちょっと衣装に笑ってしまったのですが、何と言うか……今までの彼には滑れなかったような曲を、たどたどしいながらも滑れるようになっていて驚きました。もっと踊れるように頑張れ! アンコールは『Rise(Leave me alone)』でしたが、世界選手権のエキシビションでも同じ曲で滑っていたはずなのに、何で今回はこんなに盛り上がるのかと思う程盛り上がり、ちょっと不思議な気分に。(笑)衣装は相変わらず変だけど、滑りも力強くて、彼こそ男子シングルって感じです。
安藤美姫はお馴染みの『アイ・ビリーヴ』。去年と同じですね。世界選手権のエキシビションでは微妙な終わり方になってしまったので一瞬冷や冷やしましたが、今回はしっかり滑ってくれて良い雰囲気に。アンコールでは4回転に挑戦したようですがやはりお手付きでした。
フィナーレは『The Show Must Go On』……で終わりかと思いきや、会場が暗いまま引き続き大音量で音楽がかかったのでもう一度カーテンコールみたいな雰囲気でみんな出てくるのかと思わせて、結局終わりだった――という、何とも締まりのない終わり方で拍子抜け。
今回、フィナーレで使用するという事で、入場時にサイリュームのペンライトが配られたのですが、これ、拍手や手拍子ができなくてちょっと不思議な雰囲気になってしまいました。実は私はペンライトを受け取れなかったのですが(というよりペンライトを配っていた事を知りませんでした)、だからといって誰も拍手をしていないので、それもしにくい雰囲気で……この演出はちょっと苦しかったかも。コンサートとかでよく見かけるブレスレットタイプのライトであれば拍手には支障ないので、次回も採用するならこのタイプが良いと思います。あと、最低限観客全員に行き渡る程度に数を準備してもらえれば……。
一緒に観た同僚氏も言ってましたが、全般的にエキシビションは男子の方が客席を煽るのも巧くて面白いと思います。最近は競技面でも女子は技術重視で、男子の方が個性重視といったニュアンスを感じるので、そういうのも影響しているような。
全体的に昼も夜もグダグダでしたが、とりあえずこれで今シーズンの試合は一段落でしょうか。う〜ん、会場観戦も世界選手権である程度燃え尽きちゃってたかも。(笑)尤も、2005年(12月)の代々木グランプリファイナルを皮切りに、2007年(3月)の東京世界選手権と、世界的に大きな大会が2シーズン連続で近場であって、更に各種凱旋公演が続く――など、絶え間なくスケートリンクに脚を運ぶ機会というのも、もう今後は十年単位でないと思われますので、これはこれで愉しかったかも。