ケーブルTVに加入したお陰で時代劇専門チャンネルが観られるようになって、土曜は大概『暴れん坊将軍』が観られる今日この頃。(ま、出勤しなくて済めばの話だけどね……。)山田奈緒子も裕福だったら是非とも加入するといいよって感じだがそれは却説置き。
そんな時代劇専門チャンネル、この4月は『ドラマで楽しむ藤沢周平の世界』と銘打って、藤沢周平原作の映画やドラマがバンバン再放送されていました。
その中でも今回の特集の目玉として、主演した市川染五郎のインタビューまで放映されたのが、今日のタイトルでもある映画『蝉しぐれ』です。
この映画の原作となった『蝉しぐれ』は、私にとっても思い出深い作品のひとつ。高校生の頃、時代劇が大好きな事を周囲に吹聴していた私に、当時同じ部活で懇意にしていたお友達のお母様が薦めてくださって初めて読む事になった藤沢周平作品が、この『蝉しぐれ』でした。
映画『蝉しぐれ』は、原作とはまた違う風合いでもありますが、その作り手の想い入れが、良い意味で伝わってくる作品だと思います。「これが俺の作る『蝉しぐれ』だッ!」みたいなウザい押し付けがましさもなく、それでも「これ造った人、原作が本当に好きなんだろうなぁ」みたいに感じられるさりげない思い入れが端々に見え隠れしていて、ファンとしても嬉しいと言うか。
この映画で私が最も良いなぁと思えたのは、蝉の声と、稲穂の海。それと、夕暮れの朱。これは『蟲師』のアニメ版の際にも感じた事ですが、こういうノスタルジックな風景と音とを視覚化させる事ができるという事こそが、小説や漫画を映像化する価値のひとつではないかとさえ思います。セットも非常に完成度が高く、俄か造りとは信じられないほど。それも公式サイトを読んでちょっと納得。オープンセットは作成後1年間風雨に曝して、それっぽさを出しているのですね。
とは言え、キャスティングなんかはちょっと吃驚するんですけどね。文四郎の幼馴染が今田耕司とふかわりょうだったりして……最初は「ええ、何で?」と思ってしまうんですけど、これも意外に映画版のアクセントになっている。今回、映画『蝉しぐれ』の放映の後に、市川染五郎のインタビューがあったのですが、そこでも「(このふたりと共演する事で)時代劇であるという事を意識しているつもりはなくとも、気が付くと『造っている』自分に気付き、刺激になった」という発言があって、頷けるというか。
市川染五郎のインタビューは存外に良くて、例えば映画のラストシーン、文四郎がふくに「ふく」と2回ほど呼びかけるシーンがあるのですが、このシーン、これがなきゃ終わらないってくらいの重要なシーンになってしまっているのに、実は脚本にはなかったのだとか。監督の黒土三男が、それこそ眼に涙を溜めながら、染五郎に対して「『ふく』と言ってやってくれ」と言ったというエピソードなんかも聞けて、この黒土三男という人が、どれ程この作品を愛したかというのが伝わってくるというか……。この作品、脚本も黒土三男が描いているようですが、全般的に良い意味で控え目だと思います。原作をとても大切にしている。
映画『蝉しぐれ』は、何より映像が良いです。『ラスト・サムライ』のような海外製の映画にはない空気感がある。誤解のないように言っておきますが『ラスト・サムライ』が悪いとは一言も言っていないのですよ。これも DVD 持ってるくらいには好きですからね。
藤沢周平の小説というのは、私の場合(ありがたい事に?)殆ど買った事がないんです。藤沢周平作品というのは大概は会社のオジサマ方がお持ちで、読みたいと言えば(時には言わなくても)譲ってもらえてしまうんですよね。
かの『蝉しぐれ』の小説と映画の差異について盛り上がったり、山形の風土について語られたりしている内に、ふと気が付けば未読の藤沢小説がまた手元に――なんて具合。(笑)それくらい日本人の心に根付いている藤沢周平の描く江戸の風景。
もし、司馬遼太郎の小説に肩が凝ってしまうという方がいらしたなら、藤沢周平の小説は如何でしょう。私はどっちも好きですが。
2007年04月28日
この記事へのコメント
志穂たのしそう♪
Posted by BlogPetのねりな at 2007年04月29日 10:08
お前の空気読めるようになった書き込みが嬉しいよ……。
Posted by 志穂。 at 2007年04月30日 10:05
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蝉しぐれ
Excerpt: 蝉しぐれ『蝉しぐれ』(せみしぐれ)は藤沢周平作の長篇時代小説。藤沢作品のなかでも代表的な小説のひとつである。1986年7月9日から1987年4月13日にかけて「山形..
Weblog: ゆうかの記録
Tracked: 2007-08-28 04:27




