2006年05月27日

フィギュアスケート - ジャパンオープン2006 雑談

 『ジャパン・オープン2006』特集記事、一気読みはこちらから。

 さて、『キノシタグループカップ JAPAN OPEN 2006』開催に伴い、だらだらと続けてきたこの特集もそろそろ締めようと言う事で、とりあえずガラのTV放映を願いつつ、終わりにひとつ雑談でも。

 今回のこの『ジャパンオープン2006』というイベントに関しては、今までフィギュアスケートを熱心に観て来られた方々は一様に不安だったと思います。勿論、素人観戦ながら、私でさえそうでした。
 通称「ジャパンオープン」と呼ばれていたイベントは以前から冬頃にあった訳ですし、そこに例年なら完全なオフシーズンという時期に、突然降って沸いた「オープン」の名を冠した試合の実施。しかも国際スケート連盟公認と言いつつ、その位置付けも曖昧な上に、団体戦の意義も謎。これはもう日本でのフィギュアスケート人気が絶大なタイミングを逸せず(サッカーワールドカップに話題を掻っ攫われる前に)イベントを開催したいのだな、という主催者側の思惑は誰の眼にも明らかだった訳で。
 更にファンの不安を煽ったのがプロアマ混合という試合形態。特にヤグディンは新採点のプロを持っていない選手ですし、その満身創痍な肉体では、とてもじゃないけど競技に参加できるとも思えない。しかも欧州と日本はプロ選手が1人ずつ入っているのに、北米は全員アマ現役。まぁ、「プロアマ問わず一律新採点方式」のルールを明示している時点で、余程の親日派か、若しくは高額なギャラでも入らない以上、プロなら参加しない方が当然なんですけども。新採点制度が導入されて、まだ2年程というご時勢。本来なら「全てのチームにプロを必ず1人入れて、プロだけは旧採点で点数を競う」くらいのルールにしないと、公平性が保てません。
 しかも、アイスクリスタル(日本スケート連盟協力ファンクラブ)に入会している某嬢曰く、今回のイベントでは「観戦チケットの先行予約もなし」という、以前からフィギュアスケートを応援してきたファンにとっては惨憺たる情況だったそうで。加えて競技会のチケット発売後、脅威のガラ(特別公演)後出し! これらが以前からのファンの不安を更に煽り立て、「今度の大会は運営も不安だしスキップ」という反応があった部分も否めないでしょう。
 それでいて、この大会で何より盛り上がった瞬間は、何とその後出しガラで演じられたヤグディンの『ウィンター』だったのですから(最近フィギュアスケートを観戦するようになった方に解り易く説明するなら、これは日本人にとって「荒川静香が、トリノ五輪のフリーで演じた『トゥーランドット』を、日本で、あの衣装で滑ってくれました」くらいの価値に勝るとも劣らないものだと思います。尤も、これは比較として適切とは言えませんが)、これには主催者側も多少なりとも驚いたでしょう。更に言うなら、そのエキシビションの演出の秀逸さも未だかつてない程で、今まで私が生で観る機会を得たどの公演よりも美しかった訳ですけど……。

 ただ、観衆としては「真央のグランプリファイナル優勝、荒川の五輪金メダルの余韻のままに、お祭りムードで試合を娯しみたい」というのが本音でしたでしょうし、また、来日してくれた選手たちにしても「今度の世界選手権の下準備のつもりで、日本で滑り馴れておこう」というくらいの認識だったと思いますので(勿論、選手たるもの出場するからには勝ちに来るでしょうが)、決して大会そのものの企画が的を外していたとは思いません。
 それに、余程の事がない限り、開催国が優勝するのも予定調和。とは言え、それを八百長などと騒ぎ立てる事には全く意味がないと考えます。現在のこのフィギュアスケートブームに沸く日本で、その優勝や真央の活躍を大仰に騒ぎ立てる事は、フィギュアスケートというスポーツの裾野を広げる要因のひとつになり得るのではないか、と――その可能性を認識する事こそが、ファンとしては肝要なのではないかと。私としてもそれがあるからこそ、温い視線でスポーツニュースを眺める事ができるのですし、そもそもそれがなければ、こんな時期の試合は選手の負担以外の何ものでもなくなってしまいます。
 試合進行も私が知ってる中では一番酷いものでしたが、それもお遊び大会だと思えばご愛嬌。選手たちが本気で滑ってない、と憤る意見も時に拝見しましたが、そもそもこの時期にそれを期待していたとしたら、それはスポーツというものを甘く見ている気がします……。だって、みんな4年に1度しかない五輪に照準合わせてデッドヒートを繰り広げたシーズンの直後、しかも世界選手権もついぞ終わったばかりなんです。そして、例年ならシーズンオフなんです、現在は。
 個人的には、選手全員エキシビションのつもりで滑ってくれれば充分だと思ってましたし、そもそもこんなシーズンオフに来日してくれた事に感謝こそすれ、とてもじゃないけれど選手の滑りにケチをつける気にはなれません。ケチをつけるなら、あの必要以上に選手に負担をかけた進行の悪さです。選手達が本気で試合に臨んでいた場合にあんな進行をされた日には、それこそ選手もファンも怒り心頭でしょう。

 そして私は、そんな五輪に沸く日本の空気を読んで「ソルトレイク五輪金」のプロをぶつけて来てくれたヤグディンに対しては絶大な感謝をしたいと思いましたし、それでも絶対に「トリノ五輪金」の『トゥーランドット』を滑らない荒川の姿勢を非常に評価したいとも思いました。
 彼らはプロなのだ――と。プロであろうとしているのだ、と。
 そんな風に感じました。

 まぁ、何はともあれこの試合、私は非常に娯しめました。この特集の文章を書くのも、ちょっと愉しかったです。普段余り語れる人間が周囲にいないので、想いの丈を吐き出したかった感じ? (笑)
 また、何かタイミングがあったらやろうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。と言う事で。
posted by HOSHINA Shiho at 02:31| Comment(5) | TrackBack(0) | JAPAN OPEN 2006 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
志穂が、フリーやルールとかを開催すればよかった?


Posted by BlogPetのねりな at 2006年05月28日 09:07
志穂様。
はじめまして。いつも楽しみに興味深く読ませてもらっています。志穂様の洞察力、観察力、文章力にいつも圧倒され、それ故に新着記事を最近ではとても待ち遠しく楽しみにしています。
志穂様はプルさんの大ファンだそうですが本田選手についても熱く語られていらっしゃるご様子。私はずっと彼を応援してきたつもりなので志穂様の文章を繰り返し読ませてもらって時に涙をこらえることが出来ません。先日のジャパンオープンを見に行って<どうしても彼にソルトレイクでメダルを取らせてあげたかった.....>と、また泣けてきました。ヤグ&プルさんは仕方ないとしてもゲイブルにも、その後の世界選手権で二度とも勝てなかったのだから、やっぱりあの順位はなるべくしてなって順位なのだ....?と自分に言い聞かせています。彼は本当のところソルトレイク四位っていうのを四年たった今どう感じているのだろう.....か、と思うこの頃です。

最後ですが志穂様に読んでいただけたら、それで十分ですので、どうかこの文章、お乗せにはされませんようお願いいたします。

yuki
Posted by yuki at 2006年05月28日 22:40
yukiさま
 初めまして。色々とお褒めの言葉を戴いてしまい大変恐縮です。
 本田の成績に関しては、今更ながら私も色々と思うところがあります。ただ、「たられば」を挙げると切がないので、(口頭であればともかく)文章として載せるのは控えてる、といった感じです。フィギュアスケートの場合は滑走順や勝負強さも然ることながら、人種差別等も避けて通ることはできませんし。
 ソルトレイクでの成績については、彼もまだしばらくは語るつもりもないのでは、と思っています。最低でも、あと1年〜2年くらいは、きっと黙ってるんじゃないでしょうか……判りませんが。結局、どんなに応援し続けても、ファンは永遠に片想いなんですよね。(苦笑)でも、それで良いと思って応援し続けちゃうという。

 私だって、言葉が通じなくても、何を考えてるかサッパリ解らなくても、ただ応援し続けるだけです。

 最後になりますが、このブログにはコメントの非表示を設定するステータスがないので、もしyukiさまの方でご依頼がありましたら、コメントの方を削除させていただきますが……どうしましょう。
ブログ右手の下の方にメール送信フォームがございますので、もし要りようでしたらそちらからご連絡ください。
Posted by 志穂。 at 2006年05月29日 12:40
私は他のスポーツと違いフィギュアを見るときはナショナリストではなくなる珍しい人間です。本田君にもゲーブルにも正直言って演技にはさほど魅力は感じないのですが、どんぐりの背比べ だと思います。
採点競技の場合は似たレベルの出来なら過去の実績の高い選手に有利なんです。過去の実績も似たようなもんなら実績の高い国の選手に有利なんです。
Posted by ゆか at 2006年06月13日 13:20
>ゆかさま
 各選手を比較した時にどちらが良いかと言うのは、結局は判断する個人の主観の問題ですし、殊に私の場合は全てが素人判断で書いてるだけですから、別に差し支えはないと思うのですが……。

 成績的な視点で視るなら過去の実績も然ることながら、ウィンタースポーツに関しては白人であれば、より有利なのではないかと思ってます。私が勝手に思ってるだけですが。これはナショナリズム云々というよりは、もっと単純な人種の問題で。芸術スポーツの場合、白人以外の人種の選手がミスをすると、鬼の首を獲ったかのように減点される傾向があるように視えるので、その辺は比較的如実に成績に反映されているのではないかと。勿論、それが公明正大なジャッジだと主張されるなら、私なんぞがどうこう言える筋の話ではないです。精々がところ、この辺で管を巻くだけ。(苦笑)現状と何も変わるところはありません。

 私も国内外問わず好きな選手が沢山いるので、フィギュアスケートをナショナリズム的な枠の縛りで視るのはもったいないな、と思います。とは言え、いざ自国の選手が金メダルを獲ってしまうと、そういう流れになるのは限り致し方ないのだな、と……。これは現状からの素直な感想です。
 まぁ、私の場合はこの辺りについては話題の引き出しに殆んど持ち合わせがないので、何とも言えないのですけども。
Posted by 志穂。 at 2006年06月14日 01:42
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