『JAPAN OPEN 2006』公式サイトの紹介文より
『日本男子初の世界ジュニア王者で、情熱的なスケーティングとステップを誇る日本のエース』
ということで、『JAPAN OPEN 2006』特集、スタートは高橋大輔から行きます。
現在のフィギュアスケート男子シングル、日本のエースは? と問われたら、高橋と答えるべきか織田と答えるべきか――これは、実は結構悩みどころではないだろうか。
去年の今頃だったら何の迷いもなく「本田じゃん?」と答えられたけれど、高橋と織田については、現状非常に実力が拮抗しているようだし、とは言え、ふたりともまだまだ、ソルトレイクシーズンの全盛期の頃の本田には遠く及ばないように思う。
私は、ワールドの試合に勝ち残ってくるような選手しか名前が判らない人間なので、高橋大輔の顔と名前が完全一致したのも、実は去年の世界選手権の頃。しかし、その印象はお世辞にも良いとは言えなかった。何故なら、彼の顔を覚えた時の報道が、五輪の男子の出場枠がひとつに減った――というニュースとセットになっていたからだ。
私が観た報道番組では、棄権扱いになった本田については多く語られず、いかに高橋がボロボロだったかが重点的に解説されていた。当時の私は、本田に対して「試合に出場すれば『それなりの成績』は残せるが、どうしてもトップ争いには食い込めない」という認識で余り高くは評価していなかっただけに、高橋の駄目っぷりは殊に際立って感じられたのである。
とは言え。
その後、プルシェンコの来日に釣られて6月のドリーム・オン・アイスを観に行った訳だけど、この時の高橋は非常に安定していて、私の中の高橋株はぐんと上がった。
「何だ、ちゃんと跳べるじゃないか。しかも着氷も安定してて綺麗だし」
その時の感想は、そんな感じだったと思う。世界選手権の時の報道が冗談のような、安定したジャンプ。スケーティングにも流れがあって、少なくとも、その回の公演における男子シングルメンバの中では、彼の滑走は殊に美しく、華やいで観えた。まぁそれでもやっぱり「日本のエースは本田」という認識は前提にあっただけに、あの日の時点で彼がまだ復帰していなかった事を残念に思ったし、そう思った人は他にも沢山いただろう。でも、だからこそ。
高橋の2005-06シーズンの活躍は、想像以上に目覚しかったのだと思う。
秋には10年間日本王者の名を欲しいままにして来た本田を抜き去り、冬には織田を差し置いてグランプリ・ファイナルの表彰台へと昇った。そしてその翌週には全日本選手権初優勝――と、彼は一気に国内のスターダムへの道を駆け上がった。
個人的に、あくまで私の主観的な感覚に於いては、今のところ彼のスケーティングに、際立った個性や重厚感は感じない。突出して出来ない要素がある訳ではないけれど、でも、跳び抜けて眼を惹く要素もないように思える。勿論、これは逆に言えば、非常に「整って」いるという言い方もできるだろう。ひとつひとつの動作を取っても、得手不得手の顕著な波がなく自然に見える。けれど――全体的に小さくまとまりすぎていている気がして、それが惜しいかな。カリスマ性に乏しい側面は否めないというか……。もっと彼自身に自信がつけば、この辺りは変わってくるのだろうか。今年の高橋大輔が何処まで行くか、それについてはとても楽しみです。
あ、でも高橋の場合は、まずは4回転ジャンプの安定が重要課題。その辺りが攻略できれば、きっと世界の表彰台ももっと近くなるはず。先の五輪も(ジャンプのカウントさえ間違えなければ)5位くらいには食い込めそうな滑りだと思ったしね。
2006年05月04日
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