2010年07月25日

世に不思議なし、世すべて不思議なり。京極夏彦presents夜話 巷説百物語

 まぁタイトルの通りなのですが。24日に西巷説百物語発売記念イベントに行って参りました。ので、今回は(ちょっと他の残件すっ飛ばして)このイベントのレポです。
 イベント構成は以下の通り。(プレスリリースからのコピペ)

 第一部 朗読 「巷説百物語」 朗読:京極夏彦
 第二部 アニメ「巷説百物語」 小豆洗い
 第三部 「巷説百物語」創作秘話 出演:京極夏彦 聞き手:杉江松恋
 第四部 ドラマ「京極夏彦・怪〜福神ながし」

 第一部の朗読は『帷子辻』からの一節でした。本当に普通の映画館で凝った演出もなかったので、客席横の入り口から普通になっちが入ってきて、「特別な演出できない」とか「一度暗くなったと思ってこの前振り忘れてください」とか言った後、唐突に『帷子辻』を読み始めたのには驚きました。
 朗読したのは勿論クライマックスの章です。「吾に羞せつ」を生で聴けるとはね……。それにしても自分の文章とは言え、流暢に喋るなっちにびっくり。
 第二部のアニメ版、実は観るの初めてでした。全く違う話なのね……。巷説は原作自体が必殺シリーズのパロディっぽい作品だけど、アニメの方はそういう感じじゃないんだな。何となく『地獄少女』みたいのが来るような印象があった。いや、勿論色々資料読んでるから、そういうアニメじゃないのは知ってたんだけど。
 因みにアニメは『小豆洗い』の回だったけど、次会予告が『柳女』でちょっと吃驚。順番バラバラ?
 第三部のトークショウ。これは興味ある人多そうだなぁ。憶えている範囲で順不同に。(ファンだったら「今更そんなん知ってる」みたいな話もある。)
・巷説シリーズの連載されている『怪』は水木しげる御大の肝煎で始まった季刊誌。最初は5、6号で廃刊になると思っていたのに、廃刊どころか『ゲゲゲの女房』のおかげで水木しげるの人気が高まっていて、「水木しげる先生の連載が読めるのは『怪』だけ!」の今、到底『怪』は終わりそうにない。
・そういった理由もあって、最初はすぐに終わると思っていた巷説シリーズが『続』に続き、『後』で直木賞まで獲ってしまい更に終わらせられなくなってしまった。
・巷説百物語シリーズは『桃山人夜話』がベースになっているので、まだ描かれていない妖怪が残っている。しかし、『歯黒べったり』『鬼熊』『柳婆』などは書けそうにない。『鬼熊』は大きな熊だし、『柳婆』は『柳女』が歳喰っただけになってしまう。
・巷説百物語は妖怪小説なので、お化け>シリーズ構成>小説としての出来 の優先順位で創っている。小説を書く時は化け物が蔑ろにされていない事が重要。この「化け物が蔑ろにされている」事が原因で没になった小説が幾つかある。実は没になった『鬼熊』という作品があって、この話には鬼熊という人物が出てくが、内容的に人物が立ち過ぎて妖怪が蔑ろにされてしまったので没にした。(鬼熊という人物と虎熊という人物の対立云々みたいな話? 実はふたりとも良人物だった、みたいな落ちらしい。)この没になった作品の替わりとして出来たのが『舞首』。主人公の名前が鬼虎なのは、前身にあった『鬼熊』の名残。小説としては、『鬼熊』の方が出来が良かった可能性もあるが、妖怪の方が優先順位が高いので没にした。また、小説として出来が悪くても、「巷説としてアリ」なら有効な場合もある。
・『死ねばいいのに』について「全国馬鹿選手権みたいな話」である。『死ねばいいのに』や『西巷説百物語』のように、騙される側から描く話は書き難い。
・「宵越しの金は持たない主義」と生きてる時は潔いのに死ぬと未練がましい関東と、死んだら終わりだから一生懸命生きる関西で、お化けの性格も異なる。関東と関西では文化が違う。上方の話におぎんや又市を出すと野暮ったくなる(東京に出てきた田舎者のおのぼりさんみたいな感じ)ので、西は又市一味が殆ど出ない。主人公も林蔵。
・又市は丸ごと騙すが、林蔵は必ず騙される側に選択はさせている。が、小さい事に拘って誤った選択をし続けた結果のバッサリ。
・百介コールが多いので、書き下ろしの『野狐』に百介も出ている。一章丸ごと百介の章がある。
・書き下ろしは『帷子辻』と『天火』と時系列でバッティングする可能性があって、担当さんにその辺りを確認したところ、当の担当さんが丁度(今回の新刊に入っている)『巷説百物語シリーズ徹底解説書』というリーフレットを造っている最中で、すぐに確認してくれた。自分より担当さんの方が時系列に詳しい。
・巷説はこれで終わりなので(帯にも「これで終いの金比羅さんやで」とある。)、今後は妖怪のキャラクター寄りの話になる予定。
・今回のイベントで放映するドラマ『福神ながし』は原作のない話だが、未だ描かれていない巷説の長編『葛の葉』の一部。『葛の葉』はまだ書くかどうか判らない。
 こんなもんかな?
 引き続き第四部のドラマ放映があって、この辺りになってくると終電に間に合わない人がどんどん抜けて行く。当初の終了予定時間は24時30分となっていたけれど、実際終わったのは24時50分。因みに休憩に入った段階で、当初の予定より25分押しだった記憶がある。トークショウ長引いたのかな?
 個人的には、『福神ながし』も初めて観たのでこれはこれとして愉しめました。ちなみに『七人ミサキ』だけは、もう10年くらい前だったのかな?確か渋谷の映画館で観た記憶があります。
 という訳で、3時間がっつり巷説尽くしの夜でした。ご機嫌。
 んでもって、入場者に配布されたサイン本、私の本の妖怪は『かつら男』でした。何でも絶世の美形の妖怪なのだそうで。他にも何人か『桂男』の方、いらっしゃいますね。比率的に多いのかな? ネット上で複数人お見かけしてます。そういえば、トークショウの時に、本が出来るのが遅くて、イベント当日の午後までサインを書いていた旨も仰ってたのですが、イラスト入りの方のとかは割りと早い段階で描いたんだろうなぁ、とか思ったりなど。そういえば、中には『御行奉為』の方もいらっしゃったようですね。これは羨ましいなぁ。

 そんな訳で、とりあえずレポでした。間違いとかあったらご指摘戴けるとありがたいです。
posted by HOSHINA Shiho at 06:35| Comment(1) | TrackBack(1) | 巷説百物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
指摘って…なんだろう…?
Posted by BlogPetのねりな at 2010年07月28日 14:41
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