本田武史が、今度の世界選手権の解説をすると思しきプレスリリースを覧てしまった……。
ぶっちゃけ、引いた。
う〜ん……せめてあと4年は長いにしても、最低でも2年は待って欲しかったかも。もう暫く五十嵐さんや樋口さんの解説でいいのになぁ。本田が活躍していた同時代の選手達が全員いなくなるまでとは言わないし、今回はジュニアの頃からずっと一緒にメダルと技術を争ってきたプルシェンコがいないのも、ちょっと救いではあるけれど。(因みに、高橋や織田、今年だと小塚も優勝しているジュニア世界選手権で本田の優勝記録が残っていないのは、件のロシア二強時代と完全に被っているからだと思う)
しかし何が嫌って、ジェフリー・バトルの解説を本田がやるというのを聴きたくないんだよなぁ……。多分、本田に肩入れしていなかったとしても一瞬は引いたんじゃないだろうか、この采配。引退したヤグディンがプルシェンコの解説をやるのともまた訳が違うのだ、これは。そりゃ、本田とバトルに関しては、ヤグディンとプルシェンコまでの熾烈なライバル関係って訳でもないけれど、だからこそ私は余計に観たくないのだな、これを。
もういい加減自分が苦しくなるのでそろそろフィギュア関連の話題辞めたいんだけど、でも、最近になってフィギュアを観るようになった人は、きっとこういう気持ち悪い感覚は理解できないと思うし、意識した事がない人もいるだろうから、批判を覚悟で書き留めておこうと思う。やっぱり考えちゃうんだ、こういうの。以前は(一応存在した)マイルールに則って、こういう内容を書くのってできるだけ避けてきたんだけど、もうここ最近ははっちゃけてるな、このブログ……。
例えば、ソルトレイク五輪の金メダリストであるロシアのアレクセイ・ヤグディンは、ほぼ全てのタイトルに於いて金メダルを制覇しています。そして、既に引退済み。当時宿命のライバルだったトリノ五輪の金メダリスト、同じくロシアのエフゲニー・プルシェンコは、ヤグディン引退後、当然ながらそれらのタイトル全ての金メダルを悉く奪還してしまいます。
金メダルには、それより上はありません。そこが至上の高みです。だから残るのは、どちらが先にそのタイトルを手に入れたか、という単純な歴史的事実だけです。
しかし。
本田とバトルというのは、実はふたりとも同じカナダを拠点として活動している選手です。そしてグランプリシリーズでは一緒に表彰台に並んだ事もあった。また、本田全盛期の頃には、常に本田の方がバトルを一歩リードしていた訳です。本田が優勝ならバトルが準優勝、というように。
そんな本田の成績は、その最盛期がヤグディン・プルシェンコといった二強時代に完全に被った事もあり、ソルトレイク五輪は4位入賞、世界選手権の最高順位は銅メダル。
そうして先のヤグディンが引退し、新採点時代に突入すると、今度はバトルが上位に上がって来るようになります。そしてそんな彼の成績は、トリノ五輪銅メダル、世界選手権は銀メダル。
解って貰えるだろうか……この、こう言っては大変失礼だけど、時代のニーズか時の流れか、微妙にバトルの方が本田の上を行ってしまっているというこの事実。ほぼ一緒に同じ時代を闘って来た同士でありながら、ちょっとだけそのピークがズレたという、その事実が突きつけて来る、この世智辛い現実。
どんなにか手を伸ばしても届かなかった、あとひとつ上の順位と、欲しかったメダル。天の采配故か、それを手に入れることを赦された、同時代に同拠点で活躍した同士の解説を、日本の報道は本田にさせようと言うのか……。
本人は納得してるのだろうし、私が言える事なんか何もない。でも、何となく気持ち悪い感覚が残る。日本の男子シングルに於いて、国内では10年間孤高のエースを強いられ、過剰な期待に押し潰されて来た彼に、これ以上何をさせようと言うのだろう、我々は。
彼に何を、言わせるのだろう。彼の云わんとする事は、私たちにどう届くのだろう。
――まぁ、何だって良いんだろうけどさ。それが時代の、ニーズなら。
2006年03月16日
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ジェフリーバトルで引っかかりついでに本田さんの記事を読ませていただきました。
郷里が同じで、しょうもないくらい田舎だったせいか、こんな田舎からスケートなんて良くがんばってるなと密かに応援していました。
ですが悲しいくらいのマスコミからの叩かれっぷり不調などから見ていられなくなり、長いことスケートは見るのを辞めていました。
女子が話題となり久しぶりにテレビを見たらジェフ君がスケートしていたのに感激してしまいました。本田さんと一緒のテレビだったと記憶してましたが、可愛くて何か引き込まれる演技をする子だったと・・・ですがアイドルのまま消えてしまうんじゃないかと思っていました。なにせジャンプが・・・すでに19才・・
選手の華の時代は短いですね、プル様には及ばないなりにスケートを続けていたことにひどく感動・・頑張っていたんだなあと・・ 本田さんも引退前の演技は悲しいばかりでしたが
最盛期には及ばないまでも自分出来る範囲の中でがんばってるんだなと、ビデオを見返しもっと応援すればよかったと反省させられました。
長いコメントですいません。スケートは観戦素人ですが本田さんとジェフ君は思い出深い選手です
初めまして。
本田の叩かれっぷり、確かに一時は眼に余るものがありましたね……。実際、私も彼が現役の頃はかなり厳しい眼で見ていたので、今となっては何とも申し訳ない感があります。男子シングルでは日本に於ける20年振りの逸材で、世界レベルでも稀な素質を持った4回転ジャンパであったというのに、100年に一度くらいの天才が同時に2人台頭する時代に被ってしまいましたからね……。(苦笑)
バトルも本当に、こういう言い方も変ですが、大きな選手になりましたよね。去年末のGPFを観に行った時に高橋の後に彼が滑りましたが、スケーティングが物凄く綺麗な印象が残りました。TVだと解説が多くて混乱しますが、会場で観ている分には高橋や織田より格段に流麗なのが顕著に判ってしまうという……。
私にとっても、本田とバトル、ふたりとも印象深い選手になっています。殊、今シーズンは五輪も控えて観戦も愉しかったですし。アキママさまも本田の時の二の轍を踏まないように(?)、バトルの応援、頑張ってくださいね。現役の時に必死で闘う選手を応援できるって、とても幸せな事だと思いますから。
ニフティのサイトからこちらのことを知り、遅ればせながら一連のフィギュアの記事を読ませていただいたのですが、深い考察に頭が下がりっぱなしです。殊にプルシェンコとヤグディンの考察など、読んでいて泣きそうになりました。
個人的に歴代で一番印象に残っている演技といえば長野でのキャンデロロのダルタニアンで、それに次ぐのがソルトレークでのヤグディンの仮面の男だったりするのですが、最高の舞台で最高に鮮烈な演技をしてみせた彼らに対し、今回のトリノでのプルシェンコの演技は強烈な印象を残してくれるものではなくて、それが非常に腹立たしく、残念でした。なまじ好きなだけに。
ですが私は脳天気に腹を立てるだけだったので、こちらの記事を読んで頬を叩かれる思いがしました。孤高の王者の心境、ヤグディンの存在・・・うーん、もちろん、そういう理由があるなら気のない演技(といったら言い過ぎですけど)をしても仕方がない、なんてことはないですけど・・・なんかもう切ないですね、色々。
そして本田選手ですが、そうですか世界選手権の解説をやるんですか・・・。正直、反応に困ってしまいます。そもそもここのところの彼の扱われ方からして何だかなという感じでしたので。
オリンピックの代表争いのときからメディアが取り上げるのは高橋と織田ばかり。ずっと応援していた身としては一抹の寂しさを感じていました。いくら怪我をしたとはいえ、ずっとひとりで世界と戦っていた偉大な選手なのに、この扱いの低さはなんなんだろうと。
それにしてもバトルはいっそ見事なくらい本田選手の一歩上の順位を取っちゃってるんですね。本当に、もう少し時代がずれればなあと思ってしまいます。それは世界ジュニアに関しても思うことで、日本人チャンプが誕生する度にちょっと悔しくなってしまいます。我ながら心が狭すぎですが、本田選手は高校生のときにはすでに第一人者としてシニアの大会に出ていたんだから、ジュニア優勝がないのは仕方がないじゃないのとむきになってしまいます・・・
そんな本田選手の世界ジュニア最高成績は十五歳のときの二位だそうですが、このときの優勝者はひょっとしてプルシェンコさんなんでしょうか??確か十四歳で史上最年少優勝したとか聞いたのですが。でもって本田選手とは一歳違いだった気が。もしそうだとしたら、本当になんて時代が悪かったんでしょう・・・
なんだか長々と書き散らしてすみません。しかも今頃になってオリンピックの話なんて持ち出して申し訳ないです。今週からはじまる世界選手権の感想、楽しみにしています。
それでは。
はじめまして。コメントありがとうございます。
そう言えば、もう五輪から1ヶ月ですね。プルシェンコの金メダルについては、未だあちこちで考察があるようですが……。
私はと言えば、1ヶ月経って随分と冷静になりました。(笑)
プルシェンコはもう、本当はとっくにヤグディンの事なんて吹っ切れてるのかも知れないなって、思ったりもしてます。
勿論、脚の手術をする直前は、以前のように滑れなくなったら――とか、(その時点で)未だ手にしていなかった唯一の金メダル、そしてそれを得て引退したヤグディンの影等、色々なものがちらついたでしょうけれどね……。
手術を経る事で何とか得た自由な脚と、「金が獲れて当たり前」と言わる中で迎えた五輪ですから――プルシェンコにしてみれば、どうしても金メダルが欲しかっただろうと思うのです。だから、そんな重圧の下で「守る滑り」に徹するしかなかったのも、今となっては解かる。
でも、ソルトレイクを観ていた私としては、年齢を経て、故障を経験し、金メダルに固執するあまりに保守的になってしまった天才のその演技が、今でもただひたすらに遣る瀬無い――と、そういう想いは、今も尚消えません。
けど、それでも。静かに微笑むだけのプルシェンコはそれでも、嬉しかったのだろうと、今はそう思えます。あの金メダルは、彼が自身との戦いに克った証しです。母国から一身に引き受けた期待と、手術の恐怖を乗り越えて、彼はちゃんと、欲しかったものを手に入れた。だから、もう、それでいいかなって。
そんな風に思ってます。
う〜ん、これだから偏執狂なファンは怖いな――と、自分でも思いますが。(笑)
さて。
本田が準優勝だったというジュニアの世界選手権ですが、確かその時の優勝者はヤグディンです。そして3位がプルシェンコ。成長期ですから体力的な問題もあったでしょうけれど、本田はちゃんとプルシェンコに勝った事があるんですよね。流石に、プルシェンコに勝った事がある日本人は本田だけでしょう。その辺りの報道は、是非とも欲しいところですよね。そして高橋にもそれを求めて欲しい。意地悪いけど。(笑)
本田が現役時代に五輪での成績を残せなかった事については、私としても口惜しい想いはあります。生で観ると、今でも本田は明らかに巧いですよ。私の主観ですが、12月の時点では織田や高橋より巧かったと思います。流石に3月のTOIでは滑り込みの差が顕著に出て、高橋の方が切れが良かったですが。(苦笑)
でも、本田はやっぱりあの時代で良かったんじゃないかなって、思います。4回転ジャンプを1つのプロの中で2種類。しかも3回決めた事がある選手なんて、世界中捜したってそうそういません。でも、それを彼が出来たのは、やっぱりヤグディンやプルシェンコと言う天才に引き上げられた部分もあると思うのです。あの時代だったから、本田もあそこまでやれた。
そして、フィギュアスケートをずっと観ている私達が、本田の素晴らしさを解っていれば良い。バイアスのかかった報道が信用に足りないことも、私達にはよく解っているところですから。
こんなネットワークの端っこにあるブログをひょっこり訪ねて下さった方が、本田の事を応援してきてくださった方で、とてもありがたく思います。
もしよろしければ、またいらしてください。
あのときの世界ジュニアの優勝者はヤグディンでしたか。失礼しました。しかし二強の間に割って入ったとは改めてものすごいですね、本田選手。
私も、天才の並立する時代に居合わせたことは本田選手やその他の選手にとって幸せなことでもあったろうと思います。そして当の天才二人にとっても。
ただ、ふとタイトルのことだけを考えたとき、運が悪かったなあとやるせなくなってしまうんですね・・・。時代に恵まれたというだけで他の誰かが彼の辿り着けなかったところへ易々と辿り着いてしまった日には余計に。こんなことを言っては他の選手に失礼だとわかっているんですが、しばらくは割り切れそうもありません。
そしてプルシェンコ。考えてみれば贅沢ですよね。フィギュアに限らず、王者、女王と呼ばれながらオリンピックの金メダルだけは手に出来なかった選手の方が圧倒的に多い中、きちんと金メダルを取ってくれたのに、それだけじゃ足りないと言っているわけですから。身勝手なファンですみませんという感じです。
まだ複雑な思いはありますが、少なくとも彼の演技や彼の得た栄光を否定する気はありません。エキシビションは文句なしに素晴らしかったし、間違いなく彼が王者なのだと認識させてもらいました。
とりあえず私が今いちばん強く願うことは、来年の今頃、彼がこの日本に選手として来てくれていること。それを静かに待ちたいと思います。
それでは、何度も失礼しました。