2006年02月18日

もう在ない『史上最高最強の王者』の幻影。

 3時過ぎから7時30分までTVに張り付いて男子フィギュアのフリーを観戦し、そのまま出勤。帰宅してページを更新しようと思ったら、Seesaaブログ二日連続で延々とメンテナンスって、某サイトの管理画面じゃないんだから……。(笑)Seesaaは更新も重いし、オリンピック男子フィギュアスケートが一番肝心な時にメンテナンスしちゃうしで、微妙に使い勝手が悪いな。それでも有料のASPサービスを利用する位なら、プロバイダが提供してくれるものを使うけど。そんな訳で、今晩もまたメンテナンスがあるようです。

 さて。
 トリノオリンピック、フィギュアスケート男子シングル表彰式の映像をを観る事ができました。プルシェンコが登場した時の、「この日の為に4年待ちました」という実況に涙が。やっと手に入れた、悲願の金メダル。自分の為に流れる露西亜国歌。ランビエールも泣いてるし、プルシェンコもほんの少しだけ、微笑んでいたように見えた。でも、少しだけ。
 ヤグディンが現役で、同じく出場したオリンピックで金メダルを取れたのなら、本当はもっと嬉しかったんだろうな。彼はこれから先の人生では決して得ることの出来ない『史上最高最強の王者』という称号を得た人間――ヤグディンの影を一生背負って、歩んでいくのだろう。過ぎた時間は戻らない。もう既に同じフィールドに存在しない人間の影を越える事はできない。どんなに沢山のメダルを獲得しても、どんなに沢山の称号を得ても、「オリンピックの舞台でヤグディンに勝った」という事実だけは、これからの彼の人生では得ることは出来ないのだ。そして、このトリノの大舞台は、彼が望んだメダルを手に入れることを赦しこそすれ、武田信玄と上杉謙信みたいな、互いが奮い立つような好敵手を与えてくれはしなかった。でも、ここ数年彼は怪我に苦しんだ。彼がお得意のビールマンスピンをしなかったのは、しなくても金が獲れるからではないのだろう。多分もう、出来ない……。もしこれで、また別の天才が同時期に現れたりしら、私は多分、何かを呪った気もする。でも、ヤグディンという敵を喪ったプルシェンコは、そんな相手が出てくることを望んでいたかもしれないとも思う。その相手に勝利してこそ、プルシェンコは4年前に望んだものを手に入れられたのかも知れないと。判らないけど。そんな事、本人しか解らないけど。

 結局、何度もここで言及した4回転については、銀メダルのランビエールもプルシェンコと同じコンビネーションで成功させたし、銅メダルのバトルも転倒こそしたものの挑戦してくれて、何だか嬉しかったです。バトルについては、ショートプログラムであれだけ酷い出来だったのにも関わらず、転倒を覚悟で挑戦した事については、非常に敬意を表したいと思います。うん、凄く嬉しい。バトルのスケーティング、物凄く綺麗だもの。4回転が成功したら、鬼に金棒だね。

 でも私、やっぱり同じオリンピックのプルシェンコの演技なら、今はまだソルトレークのカルメンの方が好きみたいだ。前半の曲の節目節目にひたすらジャンプを持ってきて、ザヤックルールの都合上後半やることなくなったのか、物凄い強烈なステップ踏んで、刺して、ビールマンスピンで決めて。
 得点が出た時点で、「本田を抜いてトップに立ちました」という実況も、今聞くとちょっと違った感慨がある。当時は「当 然 だ ろ 。」としか思わなかったけど。当時、本田ファンじゃなかったからね。(笑)まだ本田も現役だったし。

 あとはエキシビションかぁ。プルシェンコが何をしてくれるのか、かなり愉しみだ。彼はエンタティナだから、きっと去年の6月に日本で見せてくれたものとは違うものを準備してくれる気がする。そしてその新しいエキシビションが、もしかしたら3月には日本で観られるかな。
 次のオリンピックの事なんて判らない。4年は長い。本田だって、4年前は「次のオリンピックまで、全日本のタイトルは譲らない」って言ってたんだからさ。
posted by HOSHINA Shiho at 20:05| Comment(4) | TrackBack(2) | フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

ニフティの記事から飛んできました。
なにから書けばいいのかわからないのですが、
記事を拝見させていただいて(以前のものも)、
泣きそうになりました。

私もキャンデロロでフィギュアファンになり、
ヤグディン・プルシェンコ時代が大好きだったので、色々な部分でものすごく共感出来ました。

特に、私も本田のことはヤグディン、プルシェンコの影にかくれ、興味がなかったのですが、
志穂さんの書かれている記事をみて、鳥肌が立つほど切なくなりました。
本田はすばらしいスケーターだったのですね。
彼の演技をものすごく観たいと思いました。

また、クワドを跳ぶ選手がいなくなってきている事。
非常に悔しいです。
本当に、どうして技術が衰退してしまうのでしょう。
トリノが終わってからとゆうもの、
プルシェンコの演技やその他の選手のことに関してなどで落ち込んでいるので、志穂さんの書いた記事がものすごく胸にぐっときます。
男子フィギュアスケートは、
美しさはもちろんのこと、力強いジャンプなどがあってこそだと思っています。
新採点法式になってから、
クワドを跳ばなくてもいい、跳ばない選手が増えた事も、悔しいです。
ソルトレイクでの白熱した、ぴりぴりとした緊張感のある舞台はすばらしいものでしたね。
今思うと、あの試合を見ることが出来て、
あのすばらしい四回転ジャンパーたちの時代を生きれたことをうれしく思います。


長文失礼いたしました。
Posted by YOU at 2006年02月18日 21:17
はじめまして。

去年末くらいからniftyのTBからとんできて、ちょこちょこのぞきに来ていました。
志穂さんの文章に常々共感していたのでコメント残させていただきます。

まずはプルシェンコ金メダルおめでとう!!
しかし、なんというか・・・新採点になってスピンやステップ、つなぎの部分で忙しいらしいですけど
ノーミスに近い演技が極少(泣)
見ててスカッとした!!ってな演技がとても少ないことが残念でした。
でも予想してたより多くの選手が4回転にトライしてくれたことはうれしかったです。
(クリーンに決まったのはまた少ないけど)

4年前ソルトレイク五輪の『カルメン』とてもよく覚えていますよ。
私は素人でジャンプの回転数と種類がなんとなく見分けられる程度なんですが、
SPで出遅れてもうヤケクソ気味のカルメン(に私には見えた)。
そんなコンビネーション跳ぶのかい!?←本当にありえないと思いました・・・
最後に見ろと言わんばかりのビールマンスピン!!
ゲーブルには表現力は微妙ながらも、恐ろしく決まるジャンプに苦笑。
(本田ファンだったので、さすがに負けてもしょうがないかなーという気分で)
ヤグディンはもう文句なし。

今回の金メダル、もちろんプルシェンコしかふさわしいスケーターはいない。
でも彼の存在を脅かすライバルがいれば、
金メダルの価値がもっとあったのかもなんて思います。
これからに期待…かな?
そして男子シングルの魅力はやっぱりジャンプだと私は思うので、
きれいな4回転やトリプルアクセルが消えてしまわないことを祈ります。

長々と失礼しました。
また遊びに来させていただきますね。
Posted by ミント at 2006年02月19日 02:46
志穂さん こちらでははじめまして。
確かにこの金、4年前に獲れていたら
彼の表彰台での表情はもっと違っていた様に思います。
これは、獲らなければならなかったもの、
獲るのが当り前のもの 言わば通過点の様なもの
4年前に獲ることが出来なかったものを、彼は獲りに来たのだ。
でもメダルの色は同じでも、明らかにその重みは違っているし その事は
彼自身も、彼を見つめてきた彼の崇拝者にも痛い程解っている事と思います。
一番高い表彰台の上で、彼は何を思っていたのでしょう
こんな闘い(にもなっていない)の結果、手にした金メダル
王者、別格と騒がれる中、彼は何を思っているのだろう…

もっと彼自身がスケートを楽しむ姿が見たい と切に願います。
Posted by 蜜蜂 at 2006年02月19日 06:14
>YOUさま
 初めまして!
 本田に関しては、私も引退報道を知ってから気になりだしたというか、寧ろ、12月のアランフェスを観て初めて「ああ、この人本当に凄かったんだ」と気付いたくらいで、実は初心者なんですよ。(苦笑)
 ただ、トリノを観終わった今となっては、やはり本田の凄さををひたすらに再認識してしまったというか……。彼もまた、日本に於いては10年間孤高のエースを強いられて、そのプレッシャーの中で長野、ソルトレークと越えてきた訳ですし。特にソルトレークは、あのロシアの二強天下の時代にあってあそこまでの功績を残した訳で、現在のフィギュアブームを思うと何とも切なくなります。

 4回転というのは、非常に危険な技術なのだと思います。ソルトレークの頃に世界を席巻した選手達は、プルシェンコも含め軒並み故障を経験しているようですし。ですから、選手達に肉体的な負担を強いてまで、観てるこちらのエゴで「跳べ」とは、本当は言ってはいけないのかも知れない。民衆はいつも勝手です。(苦笑)でも、だからこそ逆に、そうして時代を駆け抜けた選手達への敬意を込めて、「成功はしなくても良いから、4回転に挑戦する」という意思を、これからピークを迎える選手達が持ち続けてくれたら嬉しいな、と。そう思います。

 そして、急激な技術の進化を迎えた時代に立ち会えたことは、私も非常にありがたいと、そう感じます。


>ミントさま
 確かに、今回ノーミスの演技が少なかったですね。本当に観戦中はハラハラしてしまいました。みんな新採点で、次から次へと忙しいのでしょうね。そう思ってしまうと、プルシェンコのあのフリースケーティングの最後のパフォーマンスさえも、もしかしたら新採点への抵抗だったのかも知れない、なんて深読みさえしてしまいます。
 金メダルはいつだって、その時代を制覇した者の象徴のはずなのに……観ている我々がすっきりしないのは何故なのか、何とも切なくなってしまいます。ソルトレークで共に戦った戦友達が、故障と新採点の過渡期に呑まれてどんどん消えて行く中、そうでなくともヤグディンという好敵手と張り合った時代を経験した天才が、最後の最後で孤高を強いられるというのはどんな気持ちなのか……。私のような凡人には到底想像が付きません。というか、想像するのも恐ろしいと思います。

 でも私も、フリースケーティングに残った選手の半分以上が、成功はせずとも4回転に挑戦してくれたことは、非常に嬉しく思いました。
 是非、また遊びに来ていただけると嬉しいです。


>蜜蜂さま
 こちらでは初めまして! いらしてくださってありがとうございます!

 そうですよね。この金は彼にとって、「獲らなければならなかったもの」で、通過点なのですよね。取りこぼした物を掴み取っただけ。うん。まだ続けるみたいだし、これからも彼は独りで、まだ先に進んでいかなければならないのですしね。
 でも不思議。ヤグディンが引退してしまったことを、こんなふうに口惜しいと思うなんて。金メダルにキスするヤグディンを思い出すと、ホント、ここに来て口惜しいなぁ。(笑)金メダルの重さの違いなんて、私が生きてきた人生の中では考えるタイミングすらなかった事なので、何だか今更ながらに非常にもどかしく思います。

 本当に、彼が心から戦いを愉しめる日々が、戻ってくると良いなぁ……。
Posted by 志穂。 at 2006年02月19日 23:41
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