まず初めに、混乱している人をよく見かけるので断っておく。『怪』と『オカルト』は意味としては共に「不思議な事」という事象を指す言葉である。これに対して、『ホラー』は「恐怖」の意味であり、『サスペンス』は「ハラハラする感情」という意味で、共に感情を現す言葉である。
依って、所謂『怪談』は、ただ単に不思議な話であれば良く、恐ろしい必要はない。寧ろ可笑しいものであっても構わないし、更に言うなら、語られる事象から呼び起こされる感情が存在しなくても構わない。しかし、これが『ホラー』と呼ばれるジャンルの場合には、それは積極的に読者を怖がらせる事を目的としたものである。この点を踏まえ、私は『怪談』と『ホラー』の違いを説明する時に、次のような表現をする事が多い。
曰く、『怪談』は結果として恐ろしくなってしまう場合もあるが、それは致し方なくそうなってしまっただけで、ただ無闇矢鱈に怖がらせようと言う意図に基づいて作られたものではない。(まぁこの辺は厳密に言うと若干語弊はあるのだが、話すと長いので触れない。)逆に『ホラー』は意図的に怖がらせる為に作られたものである。因って、『怪談』は消極的な意志によって出来上がってしまったものであり、『ホラー』は積極的な意志で作り込むものである。
さて。私は『怪談』が大好きだけど、『ホラー』も結構好きである。といっても、1990年代後半から始まり今日に到るホラーブームを築いたような、SFテイストの強い作品は、私の好みではない。私が好きなのは、それよりちょっと前の、心霊テイストの強いものだ。理由は多分、心霊テイストの強い作品は『怪談』との境界が非常に曖昧だから。結局のところ、私は『怪談』が好きなのである。そんな私が小学生の頃から(学習塾の帰りに立ち読みで)読んでいたのが、講談社の『サスペンス&ホラー』と、秋田書店の『学園ミステリー』だ。何故このセレクトかというと、この2冊は基本的に全ての作品が読みきりで、非常に取っ付き易かったのである。これに対して、『アップルミステリー』や『サスペリア』なんかは連載がメインで、途中からだと解らない作品も多く、立ち読みがメインの小学生としては、手を付けあぐねていたところがあった。また、既に当時『ほんとにあった怖い話』という雑誌も存在していたのだけど、この雑誌は田舎ではなかなか手に入り難く、しかも恐ろしいと評判で、私の中ではまるで伝説のような扱いであった。
1990年代前半、少女向けホラー漫画は黄金期を迎え、『恐怖の館』や『ホラーM』等の新しい雑誌が次々と創刊された。当時は、本屋に行けばいつでも未読のホラー漫画雑誌が存在しているような案配で、店員にウザがられる程度には本屋に通ったものである。
しかし先も述べた通り、1990年代も後半に入ると、『ホラー』というジャンルのテイストが微妙に変わって来る。寧ろSFテイストが強く押し出された事で、受け皿が広がった――と言う方が、本当は正しいのかも知れない。とは言え、少女向けに特化したホラー漫画はこれを機に衰退し始め、沢山あった雑誌は次々と統廃合されてゆく事になる。それでもまだ、連載ものやシリーズものはあちこちに移転しつつも続いてたりしたので、根気強く捜していれば、好きな漫画家さんを追い掛ける事も不可能ではなかったのだが――しかし!
これが2000年代に入ると、少女向けホラー漫画は、何故かこぞってレディコミ化の道を辿り始めたのである。その様は、まるで日活映画のようでもあった……。
とりあえず、今日はここまで。続きは次回。
2005年12月28日
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