という訳で、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の劇場版を観て来ましたよ。
この映画──というよりは、この映画の原作となった話について、私はちょっとした思い入れがあります。
この作品は2chの『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』スレが原作なのだけど、私がこの作品を知った時にはスレはとうに終わった後で、(映画化の話が持ち上がる前だったように記憶してますが)結構最近の事です。
私も新卒で就職して5年ほど──厳密に言えばプロジェクトの切れ目の都合で4年11ヶ月間なのだけど、プログラマをやっていました。(今は違うけどな。)当時は、就職超氷河期なのにITバブルの名残は残っている──という時代で、多少難があっても誰でもプログラマになれたのでした。そんな中、私は5年ほどこの職種で働いた訳だけど、まぁ最後の2年は精神的に惨憺たる状態だった。会社はブラックではなかったけれど、単純に向いてなかったのだ、多分。
とにかく、プログラマが辛い経験を語る──それだけで親近感のある話だったし、加えて、この話を読んだ当時の私の仕事の状態は、ぶっちゃけ微妙な按配だった事もあって非常に心撃たれたのでした。
もう、まとめwiki読んで泣いたね。そもそもこのハナシが創作かどうかなどという事はどうでも良いのだ。そこを追求したってどうしようもないじゃん、投稿先からして匿名前提の掲示板なんだから。そんなの追求するのも野暮すぎる。とにかく私は藤田さんという存在が羨ましかった。まぁ、年齢的には自分が藤田さんのような立場であるべきなんだけど。
しかし、誰もが諸葛孔明とはいかないもので。矢張りそこは、人間努力が必要なのだ、きっと。
私は丁度この作品を読んだ頃に、上司にある事を相談し、その上司の「志穂に判らない事が俺に解かるワケないじゃん(笑)」の一言で、その後上司への相談を一切辞めたのだけれど(誤解のないように書くけど、報告すべき事はしているし、判断を仰ぐべき場所では仰いでいる。)そういった仕事に向き合う覚悟を決めるにあたっても、この作品はとても力になってくれたように思います。そして、その後視えて来たものも沢山あった。そういう点で非常に重要な作品で、私は本まで買って大切にしていたりするのでした。
で。
映画の感想なんだけど、結論だけ言うと泣きました。やっぱ元が良いから、映画化にあたってエピソード相当削ってあったものの、やっぱり泣けた。そして笑えた。
でも、プログラマじゃないと解らないところがばっさり削られていたのは残念だったかな。(どこがどうとか説明するのは野暮なのでしないけど)その辺は誰でも解るようになっていて、だからこそプログラマ故の辛さやら、それが元になって感じる親近感みたいなのは、ちょっと感じ辛くなってたと思う。
そして、藤田さんの設定がちょっと変わっている。これもひとつの結末なのだろうとも思えたし、この方がすっきりするのだけれど、原作の切なさとはちょっと違う感じが、また何というか……でも、これも良いのかもしれない。判らん。
因みに竹中の存在は一切カットだ。(笑)微妙な派閥状態になってしまう展開もカット。
何しろ、映画だと半年間の出来事という事もあって、内容がぎゅっと詰まった感じになっちゃってるからなぁ。あの短時間にエピソードをまとめただけでも凄いといえば凄いんだけど、この辺は原作が出来すぎってくらい面白いだけに難しい。
マ男が倒れ込む日比谷の交差点、立ち上がった時に背景に浮かぶペニンシュラで「ああ、あんなところで倒れたんか……」とか、関係ないところで違う親近感も湧きつつ、全体的には……どうかな。原作知らなかったり、下手に思い入れない方が娯しめるかも知れない。多分原作知らないで観たら、甚く面白く感じたんじゃないかとも思うんだ。泣ける所はちゃんと泣けるし、ちゃんと笑えるから。社長も素敵に黒いし。
最後のマ男の台詞も良かった。ネタバレになるから言わないけど。でも、激しく同意。どうあったってそこは変わらないんだよな。
しかしマ男、これで本格的に関係者に状況がバレるんじゃ。設定ちょっと変わってはいたけど、でも大丈夫なんだろうか……。
ラベル:シネ・リーブル池袋